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クロフネ querofune
CEO
菓子屋クロフネ

AIに「レシピ考えて」と頼んだらカチカチになった——職人がプロンプトを学んだ3ヶ月

最初にAIへ投げた指示はこれだ。

「レシピ考えて。」

返ってきたレシピで作った。カチカチの焼き菓子ができた。

これがスタートだった。

お菓子を作ることだけに集中したかった。でも現実は、計算・衛生管理・SNS運用と、製菓以外の処理コストが積み上がる一方だった。AIなら「好きな時間に・感情なしで・何度でも」考えてくれる。その構造的な可能性に惹かれた。

だが最初の一手は完全に失敗だった。

この記事では、その失敗の原因と、3ヶ月で現場投入できるようになった転換点を記録する。

目次

この記事でわかること

  • なぜ「レシピ考えて」が失敗するのか(構造的な理由)
  • 使える指示と使えない指示の違い
  • 実際に自動化できた3つの業務
  • 職人がAIに渡さない領域とその理由

失敗の原因は「変数がゼロ」だった

「レシピ考えて」という指示の問題は、AIではない。入力変数がゼロだったことだ。

AIはこの指示から、対象素材・目標食感・水分活性・油脂と粉の比率・保存条件をすべて推測しなければならなかった。変数が定義されていなければ、AIは「統計的な平均値」を出力するしかない。それは設計ではなく、ただの中央値だ。カチカチになったのは必然だった。

転換点:指示を「設計」に変える

変えたのは指示の構造だ。

Before(変数ゼロ)

レシピ考えて。

After(変数を定義)

あなたは製菓の配合設計者です。
以下の条件を前提に、焼き菓子の配合を分析・提案してください。

目標: 軽い口溶け(水分活性0.75以下)
制約: 卵不使用、常温保存7日
問題: 現行配合はバター比率が高く、重さが残る
改善方向: 油脂の種類または比率の変更で軽さを出す

「役割 + 問題の構造 + 制約 + 改善方向」この4点を定義してから、出力が使えるものに変わった。

3ヶ月で自動化できた業務

業務内容なぜAIに渡せるかレシピ量計算バッチスケール変換比率の保持と数値変換は純粋な計算処理HACCPアプリ作成衛生管理記録の自動化ルールベースの記録はコードで完結するSNS投稿分析反応率のパターン抽出傾向分析は統計処理。感性は不要な領域

職人がAIに渡さない領域

味の最終決定。ここだけは渡さない。

AIは「この配合は理論上こうなる」を出力できる。だが、口に入れた瞬間の「これでいい/これじゃない」は、身体の処理だ。口溶けのスピード、後味の切れ方——これはまだデータ化されていない固有値だ。AIに渡せるのは「定義できるもの」だけ。定義できないものは渡せない。

まとめ:AIは処理装置、設計するのは職人

失敗の原因    → 入力変数がゼロ
転換点        → 役割+問題定義+制約を与える
自動化できた  → 計算・記録・分析(定義可能な処理)
渡せない領域  → 味の最終判断(定義不能な感覚)

AIは優秀な処理装置だ。だが、何を処理させるかを設計するのは職人の仕事だ。

次のステップ

指示の設計に興味があれば、まず1つ試してほしい。

自分が毎週やっている「計算・記録・調べもの」を1つ書き出す。それをAIへの指示に変換してみる。

それだけで始められる。

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